はじめに
筆者はあまり,普段の活動に出席できていない.言うならば,幽霊である.要は深江氏のスタンドと化しているのである.あるいはウキウキしているだけとも言える.これを読む一年諸氏は私の存在を認識しているのかすら定かではない.一応副部長という名ばかりの仕事をいただいてはいるのだが.以上を前提にお読みいただけると幸いである.まあ,これは筆者が主に教職という名の闇に支配されているから来られないのであるから仕方がない.
1日目
筆者を含む囲碁部員は学研都市に集合した.だが,その時まだ筆者は知らなかったことがあった.前日あんなにグループLINEで発言していた部長の姿が見えなかったのだ.ジャン氏ですら時間厳守していたというのに,である.筆者は周りの先輩方に部長の行方を尋ねた.
「部長も合宿係の森田先生も来ない」
著者は激怒した.必ずやあの暴虐のパンダたちを討ち滅ぼさねばならぬと決意した.などという冗談はさておき,兎にも角にも三台のレンタカーを用いて我らは球磨の地に遠征したのである.
さて,湯前に着くまでの道中,筆者はウエムカー(上村氏運転)に,ジャン氏,パクちゃんと乗っていた.囲碁部最強運転手と名高い上村氏の運転は快適であったが,ジャン氏によって我々の安寧は崩され,おっさんずラブを布教され続けた.余裕があったため,筆者は人吉城跡に連れていってもらった.
人吉城は中世,豪族相良氏によって築かれたものである.詳しい沿革説明は各自調べていただくとして,城の縄張りは川を巧みに使い,素晴らしいものであった.この石垣は算木積や打込ハギからして江戸期初期くらいかという私見であるが,異論有れば筆者にご一報いただきたい.
さて,ここまでどこに囲碁部要素があるのかと思い詰めた方もいるであろう.筆者もその通りだ,しかし,非情な現実として初日に筆者は碁を打たなかったのである.
初日は合宿所に到着後,伊東シェフによる手料理がふるまわれた.そこから遅刻してきたTT氏も合流し,宴の開宴と共に,ウキウキカップのドラフトも行われた.今年もTT氏はメインとサブがあったのである.その後の記憶は多々あるが,記述しておくべきこととして,筆者とTT氏によってTT兄弟が現れたぐらいであろう.これは,一生に一度の爆笑をかっさらった記憶がある.
そして,恐ろしいことに,一部のウキウキ組により,埋め尽くさんばかりにあったはずの伊藤氏持参の日本酒が一晩で消失するというイリュージョンも起こったのであった.
また,なぜか来ない大熊猫部長から筆者が会計をするようにと指令が下った.筆者は激怒した(以下略).
2日目
正午に早起きをした.何という気持ちのいい朝であっただろうか.うどんをゆでて食べ,無為に過ごすという老荘思想を実践しているとウキウキカップの順が回ってきた.そして,永遠の四歳児の前で「三十秒は概念」ということを知り,筆者は消えることとなった.
この日は,他にペア碁大会を行うこととなった.筆者のペアは四歳児である.初戦は阿部氏,パクちゃん氏であるが,筆者による大暴落によって一敗地に塗れることとなった.いや,本当,マジでごめん.うん.後手八目は許されなかった.
さて,この日は他に記すことがない気がする.何故ならば,筆者が動き出したのは午後だからだ.買い出しなどには着いていったのであるが,基本的に無為だったと思う.夜中に至って,ボードゲームやワードウルフをしたのは楽しかった.周りを見渡しても,麻雀牌の音は碁石の音よりも高らかに響いていたような気すらしている.
3日目
この日はいよいよ,台風である.それと共に恐ろしい闇のゲームが始まった.伊藤氏と蟻酸氏によって口火が切られてしまった闇の囲碁は,死屍累々を生み出すことになったのだ.この記述に関しては当事者に任せたいと考える.ペア碁,筆者たちの次戦の相手はその闇の囲碁の製作者二人であった.他の先輩方に,「ここだけぎすぎすしている」と言われ,対局中に当事者も「2VS2ではなく,1VS1VS2」などという発言も飛び交うほどではあったが,何とか勝利を挙げ,決敗戦進出は免れた.さてさて,そんなこんなの裏では,もう一つ世にも奇妙な対局が行われていた.
「ペア碁なのに奇数」
TT氏のサブとメインがやり合うことになるとは……囲碁の神様というものも残酷である.そして,迎えた決敗戦.伊東・蟻ペアとTT・ジャンペアの対局である.外では雷鳴が轟き,風は大地を揺らし,ついでに伊都は停電する中,ついにTT・ジャンペアは念願の勝利を得た.私はそれを見て,ある種の感動を得た.また,その後,バルコニーに出て一服する伊東氏からはある種の哀愁を感じ,「引退だ」と語る先輩からはひとつの時代の画期を迎えたことを感じさせられた.
さて,そんな三日目であるが,これではまだ終わらなかった.トムライスを食べても落ち着かない好奇心旺盛な囲碁部員は,伊東氏に餞として31のプレゼントを贈ったのだ.筆者は参加しなかった,というか「君子危うきに近寄らず」である.31をするわけでもない,TT・ジャンペアのお二方も闇の囲碁に手を出し始め,まともな人は安心の上村氏,深江氏,テンションぶっ壊れのパクちゃん氏と筆者のみになった.いや,もう一人だけいた.赤山氏だけは隣で悲鳴が上がろうが,酒が宙を舞おうが,快眠を取られていた.
この日の夜はいつまでも続いた.日本酒が消えればウィスキーになるだけで,延々と続く祭りの裏で筆者は上村氏に見てもらいつつ,パクちゃん氏と19路盤の上でノーガードの殴り合いをしていた.そして,二時を迎えても喧騒が終わらないのを見て,上村氏の先導のもと,冷凍うどんを食し,片付けを始めた.
うどんを食べようが何をしても終わらない,喧騒.伊東氏が沈没しても場所を麻雀卓に変え終わらなかった.私はそれを観察し,ついに朝を迎えた.
4日目
一人,朝六時,温泉のオープンと共に朝風呂を浴びた.この三日間の疲れと思い出を胸に一人きりでホークス応援歌を叫んだ.そして,温泉から合宿所に戻るさなか,空を見上げると台風一過の晴天だった.
「ああ,空が青いな」
そんなことをつぶやきながら,ふと合宿所からの路を見ると人影があった.唯一の快眠を取っていらっしゃった赤山氏であった.この瞬間,筆者は帰りに赤山氏の車に乗りたいと心から思った. 帰り道は,上村・赤山両氏による安全運転のもと,筆者はノー・プロブレムで帰ることが出来た.ただし,帰りがけに起こった合宿費不足問題などは今後,留意すべき点であろうと考えられる.まあ,そもそも部長が来れば(以下略).
まとめ
運転手ガチャは大切,というか自分も免許取ろう
- 闇の囲碁はよくない
- 酒はいくらあっても足りなくなる
- 冷凍うどんは偉大
- 「歴代で最も囲碁に触れなかった合宿」 by 某氏
- 部長か合宿係は来るべき
- 合宿費の御利用は計画的に
長ったらしい文章となり,申し訳ありません
Writtened by ウキウキ文藝部員.