西日本対抗戦九州予選レポート

令和4年6月5日(日)@福岡囲碁会館

はじめまして! 文学部3年の丸尾と申します。今年度の部長(雑用係)をしています。今後ともよろしくお願いいたします。

さて、後輩からホームページの更新をしてくれと言われだしてから、早数週間。多忙を言い訳にするのも難しくなってきたので、大会のレポートを忘れないうちに残して置こうと思う。ちなみに寝ても覚めても麻雀ばかり打っているのは前部長のO氏であるから、サンライト氏にはファクトチェックをお願いしたい(「三畏閣杯(部内リーグ)創設・開幕!」参照)。

今回の大会は西日本の各地区対抗で団体戦をするため、そのメンバーを決定するための予選という形でおこなわれた。無差別、段位戦、級位戦の3クラスから2人ずつ選出するというシステムだ。筆者は段位戦に参加したが、九大囲碁部からは無差別に3人、段位戦に4人、級位線に3人の計10人が出場した。全4回戦のリーグ戦で代表枠を争った。

大会は10時スタートであるから、少し早めに会場へ向かったが驚くほど人がいる。これまでの大会に比べれば明らかに人数が多いため、最大限に人見知りを発揮しながらも着席する。すると、今年度から連盟幹事になったサンライト氏から1000円を徴収され、1000円負けた状態で大会はスタートした。

1回戦、2回戦となんとか勝つことができたが、この大会、ハンデ戦なのでかなりきついということに気がついた。1回戦目は4子局で、相手がかなりの強者であったから、正直どうやって騙すかということしか考えていないという有様で、筆者のやっていることがあまりにもひどかった。2回戦目もコミなしの白番でやっとの思いで勝つことができた。問題は3回戦だ、急成長の2年生藤川氏との2勝対決となった。これまでも互先で互角という手合だったが藤川氏の先番(コミなし)だ。序盤でかなり苦しい展開になったが、中盤以降は筆者がかき乱しまくって数える碁になりそうという状況になった。しかし、6目半がない、その状況から、更にかき乱し、悪あがきをしたが、届かない差となった。最後まで数え8目なので、コミがあれば1目半負けかなどと思っていると、サンライト氏から「それはもう負けです」と手厳しいお言葉をいただいた。気を取り直して4回戦。相変わらずのきつい置き碁であったが、なんとか勝つことができた。こうして3勝1敗というまずまずの結果で代表枠に入ることのできる結果となった。だがしかし、本戦の日程を筆者は知らなかったのである。9月上旬に行われる本戦のときには筆者は大学で講義を受ける必要があるため、辞退させていただくことになった。この点については申し訳ないと思うと同時に、夏休み中に大量の講義を行う弊学への不満を募らせるものとなった。

大会の結果、九大からは無差別戦で日高、佐溝、段位戦では藤川、田口が代表になった。本戦の様子はこの中から誰かが三畏閣に記してくれると思うので傑作を期待しよう。

今回の大会では、多くの部員が大会に参加できたとともに、他大学の方々との交流が多くできたことがよかったのではないだろうか。無差別戦の殺伐とした空気も楽しいものであるとは思うが、ハンデ戦で多くの参加者が集い、交流が盛んになることも素晴らしいものであると思う。こうした大会は継続して開催していただけるとありがたい。筆者も棋力向上に向けて精進していく所存である。

おまけ

今週末、6月26日(日)は待望の上半期総決算、宝塚記念である。今年も人気馬が勢ぞろいだ。エフフォーリア、タイトルホルダー、パンサラッサ、非常に楽しみなレースとなりそう。デアリングタクトにオーソリティもいる。

ことしもまた、あなたの、わたしの夢が走ります。

◎タイトルホルダー

◯デアリングタクト

▲オーソリティ

△パンサラッサ

△アリーヴォ

☆メロディーレーン

学生十傑戦 全国大会レポート

出場者:阿部 寺下

はじめに

十傑戦は数ある大会の中で筆者が最も好きな大会である.
理由は会場が京都だから.新幹線で行ける範囲なので融通がきくし,囲碁と京都っていい組み合わせだと思うのだ(?).
博多駅で非常にごく近くの席に九州代表長大のT氏似の人が座った気がしたが,確信が持てないので寝た.
100分後岡山駅で目が覚めてそちらの方向を見ると,やっぱりT氏であった.いやわろた 普通すぐ気づくやろ.
中四国代表のY氏とも合流して前夜祭会場へ向う道中,九大期待のエースである佐藤氏の話で盛り上がった.なんとこの二人は佐藤氏と高校が同じだというのである.昔の話を聞いたが,佐藤氏は高校時代から天才だったようだ.

前夜祭で行われた一回戦のくじ引きの結果,九大勢は二人とも関東代表と当たってしまった.特にてらりゅーの相手は超強豪.さらに周囲の山に優勝候補がゴロゴロと居り,なかなか不憫であった.

1回戦

筆者は星に打たないのがアイデンティティであるほどの古碁好きであるが,この碁は秀策流に似た構えとなり,
隅と辺を仲良く分け合ってまるで御城碁のような布石となった.中盤に差し掛かるあたりの打ち方がまずく悪くしたが,
相手が余計なコウを仕掛けたことで局面が動き逆転.秒読みでヨセがかなり乱れたものの何とか残すことができた.

てらりゅーはたいへんな接戦だったようだが,わずかに足りなかったようだ.

2回戦

九州勢は筆者一人となったのでぜひ頑張りたところ.が,序盤で自らの工夫が空回りして打ちたくないところに何度も打つことになってしまった.
そのあとごちゃごちゃやってみたが負け.近年まれに見る酷い碁だった.
しかしAI的には序盤の時点では敗勢とまではなく,後に悲観したゆえ打ったような手で負けを決めていたらしい.とはいえ,一番の敗着はこの方と当たってしまったことなので仕方あるまい.

9位決定1回戦

お互い一度負けているせいかぽんぽん打ち進めていたところ,気づいたときには四隅と左辺,右辺を全てとっていた.
当然中央は相手の広大な模様である.いざ突入!
相手も妥協せず,生きるか死ぬかの勝負となった.効きを全部打ったところで手が止まる.広いし生きるはず(?)の形だが活き筋が見えない.次の1手に残りの持ち時間2,30分全て使って考えたがわからず,結局お陀仏となった.頭を抱えてただけとは言え,長考自己新記録だと思う.
LeelaZeroも生き筋を示せないので死ぬとこなのだろうか.何にしろ面白い碁だった.負けて暇になった筆者は京都国際マンガミュージアムで優雅な休日を過ごした.

一方てらりゅーは京都観光などなんのその,ボウリングにカラオケ,挙げ句には京大の部室に殴り込んで麻雀を打っていたらしい.充実してるなあ

さいごに

今回の十傑戦で特筆すべきは中四国代表のT氏が3位入賞したことだろう.
地方勢反撃ののろしとなったのか.続きを担うのはてらりゅーであろう.次回に期待である.とにかく,かなり楽しかったと思います.

Conclusion

  • 京都の老舗銭湯「桜湯」は最高なのでおすすめ
  • 大石の死活が読みきれないときのAI「囲碁は勝ちか負けかの2種類だから勝率50%!」
  • 佐藤くんは天才

追記 

3局目を並べてみせたときの近藤氏の反応.
「いや生きでしょ.これ生きなかったら碁じゃない.」
「ちょっとまって,生きるから生きです.」

~30分~

「死ということで!✋」

Written by 阿部

十傑九州予選レポート

 10月6 日,十傑の予選が行われた.そもそもは1ヶ月前に行われる予定だったのだが,筆者の最強位戦と被ってしまい,なんだかんだで延期になった.いぶき氏には本当に感謝である.

 出場選手を見てみると長大の田中氏を除き全員が九大であった.実質,部内リーグを博多まで行って2000円払って打つようなものである.

 大会は10時からスタートであった.普段の飲み会などでは絶対に遅刻する九大囲碁部員も,さすがに大会ではばっちり10時前には着いていた.開会式(いぶき氏の挨拶)も終わり運命のくじ引きである.前年度代表の筆者と阿部氏がシードで先にくじを引き,筆者が1回戦不戦勝をツモあがった.
次の試合まで結構時間があったので,映画でも観に行こうかと少しだけよぎったが,去年の某氏のようになっては行けないのでさすがに自重した.1回戦の阿部氏vs岡氏の対局を「囲碁の師匠」にかけながら見てみると阿部氏が中盤以降ずっと評価値90%を維持していた.前回のサンイカク!で阿部氏が述べていた「老害の意地」を見た気がした.

 2回戦では筆者は上村氏を狩り,なんと1局打っただけで代表が決まってしまった. 敗者復活のほうではサイキ氏と上村氏の対局が面白かった.棋力差は結構あったと思うのだが,やはりAIに影響されたであろうか、序盤を上手くまとめてコミがかりの勝負に勝負になっていて驚いた.結果は負けてしまったが,とても強くなっている気がした.ぜひ部内リーグを頑張って欲しいものだ.

 敗者復活戦で田中氏が我々の九大包囲網をかいくぐり代表を決めた.学本に続き連続の代表である.全国大会には,阿部氏,田中氏,筆者が出場することになった.九州勢は1没よくて2没が多いので今回こそは頑張りたいと思う.

Written by Teraruu.

聖慈会杯 開幕戦レポート2

2019年07月05日〜2019年07月06日
石塚 友田 阿部 上村 齋木 佐藤 

-1日目 7/5(木)

 今回のリレー碁開幕戦が大阪で開催されるということもあり,筆者は比較的費用の安いフェリーで現地に向かうことにした.ほかのメンバーは新幹線で現地に向かうらしく,木曜の夜から移動を始めるバカは筆者だけだったらしい.フェリーでは,西武戦の中継を見て,ゼミの発表の進捗をうみ,来島海峡大橋を通過するのを展望デッキから眺めてから就寝した.
 寝る前に,フェリー内にあった七夕の短冊に必勝祈願をしておいた.

0日目 7/6(金)

 6時ごろ起床.思ったよりしっかり寝れた.ちょうど明石海峡大橋を通る頃だったのでたくさん写真を撮った.その後,迷った末,課金して朝食バイキングでとてもつよい朝食を海を眺めながら食べた.程なくしてフェリーは大阪に到着した.ひとりでのフェリー移動となったが,思いのほか気楽で快適なものであった.また乗りたいものである.この日はちゃんと観光した.梅田スカイビル,水の時計,hep five,通天閣,四天王寺と駆け足でめぐった.夕方,一足はやく大会会場のTTSセンターに到着した.早く到着したので,会場設営を少し手伝っていたら石塚氏が到着し,合流することができた.それから,戦犯氏と夕食を食べ,近くの神社とイオンの七夕の短冊に立命館と当たらないように祈願した.TTSセンターに戻って行われた初戦の抽選は九大のみが参加するという,これでいいのか?,という中で行われた.たくさん願掛けして引いた籤で決まった初戦の相手は京大とであった.
 その後,続々とこだまでやってきたメンバーとも合流でき,明日に備えて少し対局してから就寝した.

大会当日 7/7(土)

 5時頃に目が覚めた.寝る前に起きたら起こしてと言われていたので,全員たたき起こしてやろうかとも思ったがさすがに自重した.今回は大会会場と同じ建物の中に泊まっていたため,朝食をしっかり食べる余裕もあった.
 1回戦が始まる前に開幕式での阪大ベリーダンスサークルのダンスを見た.そもそもベリーダンスというものを知らなかったが,とてもよかった.

1回戦(vs京都大学)

 第1段階は友田氏.
 無難な立ち上がりから右上,右下の分かれから若干打ちやすくなったのかなと思った.右上のかみとりもとても気持ちいいとこだった.このかみとりを打つためにワンポイントで蟻酸氏を投入.この時点で評価値はだいぶよかったらしい.

 第2段階は石塚氏.
 いつもの戦犯氏というよりはとても慎重に打ちまわしてるように感じた.右下隅から戦いが始まり,ごちゃりはじめのとてもやばそうな場面で筆者に出番が回ってきた.なんとか潰れずに,勝負形にもっていけるように頑張った.時間もあまりなく,ごちゃごちゃした結果潰れずにそれっぽい形にはなったが,もっとよくなる図があったらしい.そこは筆者が力不足だったということしかできないが,もう少し第三段階のれーん氏に時間を残せていたらと思う.

 第3段階は阿部氏.
 残り時間5分でまだまだ難しい状況で回してしまった.黒の石を取りに行っても,地合い勝負でいっても際どいところではあったが,5分で打ち切るには厳しかったと思う.
 結果は中押し負け.相手の石を丸ごと取る手もあったらしく,非常に惜しい結果になった.
 また時間配分の大切さを改めて思い知ることとなった.

 昼食時にOBのレンメイショウ氏が監督として会場に来てくださり,昼からの2度目のベリーダンスを見て,上海中国チームと大阪天兆チームのリレー碁を観戦し,第2回戦に臨みました.

2回戦(vs静岡大連合)

 この2回戦の詳細は石塚氏にお任せしたいと思います.
 第1段階の期待の1年生の佐藤氏はとても冷静に打てていたと思う.さすが期待の1年生.
 第2段階の友田氏のとき,筆者の第一感が友田氏の着手とほとんど一致しており,感性が似ているのだろうか.SSR友田氏と感覚が近いのは名誉のことではあるが……この対局もいい場面はあったが,最後は力及ばず負けとなってしまった.
 対局後,中華料理店で懇親会が行われた.当初はビアガーデンの予定で筆者もとても楽しみにしていたが,天気の関係もあり,変更になったのは仕方がないことである.

 その後は,翌日遊びに行く佐藤氏,香川に行く友田氏,蟻酸氏の泊まる人たちと,筆者,阿部氏,石塚氏の帰福組に分かれた.帰福組は新大阪,博多での2度の終電チャレンジに成功し,無事に帰福することができた.

 今回,はじめてのリレー碁で交代や作戦タイムのタイミング,時間配分など非常に苦戦した.勝ち星をあげることはできなかったが,リレー碁は楽しかったのでまたやりたい.

まとめ

 友田氏が「うえむの中でうえむは一番競り合いが強い」という迷言を残していた.
 戦犯氏は静岡大連合チームの人たちと枕投げを楽しんでいた.
 蟻酸氏は選手権ではおなじみの緑茶を飲んでいた.
 阿部氏作のハンドサインを使う機会はあるのか?
 佐藤氏は期待の1年生.
 大阪大学ベリーダンスサークルのファンになりました.

聖慈会杯 開幕戦レポート1

はじめに

 7月6日,第1回聖慈会杯開幕戦が執り行われた.本大会は開幕戦にリレー碁,その後月に1度ネット碁を利用して総当たりで行う団体戦で構成されている.今回,リレー碁に参戦するため九州大学チームは前日から大阪へ向かった.

 リレー碁とはチームで1つの対局を戦う形式の囲碁である.わかりやすくルールをまとめると以下の通りである.

  • 対局を3つの段階に分ける.第1段階『初手〜60手』,第2段階『61手〜141手』,第3段階『142手〜終局』.それぞれの段階で異なる選手が出場する.
  • 対局者以外のチームメンバーは検討席で検討できる.1局の間に最大3回のタイムアウトを取ることができ,検討席の判断やアドバイスを対局者へ伝えることができる.
  • 段階ごとの選手交代とは別に最大3回,検討席の判断で選手を入れ替えることができる.

 単に対局するだけでなく,仲間を力を合わせるところ最大の特徴となる.なお,タイムアウトは自身の持ち時間が消費されるため,注意しないと時間に追われる結果を招く.どういった局面で誰を出すのか,選手を入れ替えた方が良いのか,皆が見慣れたスポーツのような感覚で囲碁を楽しむことが出来るのがリレー碁であると言える.

 聖慈会杯は元々,関西の大学を中心にリレー碁を普及する目的で構想されたものである.本来であれば,我々九州大学はエリア外であるが,筆者が大会の企画者であるめいえん先生に小・中学生の頃から囲碁を習っていた縁から誘われた.「流石に参加者は集まらないだろう」と思いつつも,後輩たちを誘ってみたところ乗り気な部員が多くて驚いた.開幕戦の参加者も6名と他チームの中でも多い数となったのは,大会の話を持ち込んだ身としては大変嬉しい限りである.
 いざ大会の蓋を開けてみると,関西圏の大学のみならず,一橋大学もチームを組んでいた.一部,連合を組んでいるチームもあり,チーム一覧を見た際には「あれ……それ良かったのね」と心の中でツッコミを入れた(笑).
 第1回大会には,全8チームが参加した.メインとなる関西圏からは,立命館大学,京都大学,そして大阪および神戸の大学連合.遠方からの参加は,我々九州大学と一橋大学,そして静岡の学生(?)連合である.正直な話,他のエリアの大学とは選手権でしか交友がないため,こういった場で交友をとったり,対局したりする機会が得られることは大変ありがたい.これらチーム一覧を眺め,筆者と上村氏は「せめて最下位は逃れよう」と目標を1つ定めた.

 これらのチームの中で筆者が驚いたのは“静岡学生連合”である.このチームのツッコミどころは挙げればキリがないが,何よりチームメンバーの大多数が筆者がめいえん囲碁教室へ通っていた時期が重なる面子ばかりである.正直,筆者は九州大学チームではなく静岡学生連合に巻き込まれ参加したかった.
 そういった経緯もあり,筆者だけは大会に参加するというより,同窓会に参加するような感覚で開幕戦へと向かった.日程が当初の予定より1週間ずれたことは幸いであった.元々の予定では筆者は関東の某大学で行われる研究集会で講演予定だったため,同窓会開幕戦に参加できなかった.

いざ,開幕戦

 開幕戦では大阪大学ベリーダンスサークルHalaawaatの演技が行われ,一部部員はファンになったらしい.なお,筆者はベリーダンスの定義の方が気になってしまい,演技に集中できなかった(演技中,Wikipedia等で調べていた).囲碁の大会の開会式でこのような演技の披露があるのは珍しいように感じた.

 開幕戦ではリレー碁が2回戦行われ,対戦相手は抽選で決定する.第1回戦の相手は京都大学であった.必要最低限の3名しか会場入りしていなかったが,それでも我々九州大学にとっては強敵と言える存在である.
 第1段階は友田氏を出すことにした.何故か,この日の友田氏は醸し出すオーラが普段と違った.安定した出だしからミスを避けるため,残りの数手を齋木氏に任せた.戦いが発生する気配のない穏やかな立ち回り,ひと隅を大きく確保することが出来たため,好調な出だしと言えた.
 第2段階では筆者が出ることになった.正直,穏やかな立ち上がりの碁は苦手である.とは言え,無謀な戦いを引き起こす訳にもいかず,慎重に戦いの場を探す形を強いられた.戦いを求めたいたのは相手も同じだったらしく,戦いの火は第2段階開始直後に起こることとなる.筆者はなるべく,相手が戦いを仕掛けやすくなるよう薄めに打ったことを覚えている.結果として大きな石の生死を巡る戦いが始まる.そのタイミングで対局者を上村氏に変わった.どうやら,筆者は上村氏が最も打ちやすい形を引き出したらしい.
 上村氏が戦いをうまくまとめ,第3段階では阿部氏を出した.筆者らが中盤で時間を使いすぎた上に,タイムアウトも時間いっぱいに取りすぎた関係で,終局にかけて時間に追われる形となった.時間に追われ,冷静に判断ができなくなり,十分に優勢であった対局を落としてしまった.

 1回戦と2回戦の合間に中国都市対抗リーグの対戦が行われた.
 次の一手予想などもある関係で筆者は九州大学チームの席に居たが,ちょくちょく静岡チームの方へ寄った.真面目な検討の合間に,開会式のベリーダンサーの中で誰が好みかという話が湧き上がるあたり昔ながらのめいえん教室の面々だなぁ,と感じた.

 中国都市対抗リーグが終わってすぐに,大学生リーグの第2回戦が行われた.九州大学チームの第2回戦の相手は静岡学生連合チームとの対戦であった.
 第1段階は1回戦では出番のなかった佐藤氏,現在1年生の九大囲碁部の期待の新人である.手早く打ちながらも安定した立ち回りに驚いた.相手の石を苛められそうな形を残して第1段階を終えた.第2段階では本日ノリにノリまくっている頼れる漢,友田氏.高校時代からの付き合いである阿部氏曰く,この日の友田はSSRレベルでキレッキレに冴えていた.実際,この日の彼は冴えていた.対局中は見られなかったが,対局終了後に中継を眺めてみると,AI判断で勝率70%以上も引き離していた.そして,“工夫の一手”と“奇抜な一手”でその場にいる全ての人を翻弄した.正直,不安もあったが余りにも友田氏がノリに乗っていること,そして同じく調子の良い上村氏と次の一手の感覚が非常に重なることから全てを一任してしまった.下手に友田氏に干渉してしまった場合,SSR状態からN状態にポテンシャルが落ちる可能性が十分に考えられた.我々はこの日の友田氏のポテンシャルに影響を与えたくないと考え,全てを一任してしまった.その結果,“奇抜な一手”を招いてしまった.
 第二段階を終える頃には,盤面10目近くの差がついていた.それでもチャンスがないわけとは言い切れなかった.第三段階では上村氏を出した.途中,筆者は良いヨセの案が浮かんでいたが読み切れず,交代のタイミングを逃してしまった.この判断が難しいところがリレー碁である.負けが確定したのち,阿部氏,筆者と交代してヨセを打ち切った.このとき,筆者は致命的な失態を犯してしまった.地合いが足りないことは自明であったため,最後の最後に唯一出場していない齋木氏に交代して,交代直後に投了する,というその場を沸かせることしか出来ない行動を取り損ねた.
 どのタイミングで選手を交代するべきか,タイムアウトを取るべきか,リレー碁独特の判断の難しさを痛感する一局となった.

 1回戦,2回戦共にAI判断で勝率70%越え(1回戦に関しては95%越え)の対局を落としてしまった.どちらも時間配分と中盤後半からヨセにかけての戦いをまとめるあたりでミスが目立つ形となった.チームメンバー共有の弱点箇所を認識する良い機会となった.今回は2連敗という結果に終わったが,まだ8月以降の団体戦が残っているので挽回できるよう善処したい.

 また,今回の対局は2局とも弈客围棋で配信された.配信に伴い,リレー碁の対戦には各々プロ棋士による解説が着く.この度,九州大学チームの対戦は1回戦,2回戦ともに大川初段に解説していただいた.普段,プロの方から解説および局後の検討で指導を受ける機会がないため,大変貴重な経験を得ることができた.

おわりに

 懇親会では,かつてのめいえん教室の面々は1箇所に固まり,ある意味同窓会のような雰囲気が生まれていた.今大会で一番驚いたことは懐かしのメンバーが集ったこと以上に英龍の成長である.筆者の最後の記憶では,彼が小学校に入ったかどうかという時期である.それが今では中学生,昨年は全国大会で優勝している.しかも身長の抜かされてしまった.大人たちの言う,「子供の成長は早い」という言葉を実感してしまった……
 終電の都合で筆者と一部メンバーは途中で抜ける形となったが,非常に有意義なひと時を過ごすことができた.なお,残りのメンバーは香川でのエクスカーションを予定しており,追加で一泊している.詳細はエクスカーション部門を参照してください.

Written by 紅い数学科

西日本予選レポート

〜“ヨシダ”をめぐる戦い〜

阿部,齋木,中島,吉田,寺下

 たぶん参加者が少ないとふんだ筆者は,人不足回避のため一応参加してみた.前日も団体戦についていったため,二日連続の博多となった.普段ニートの筆者にとっては,博多という遠出,さらに土日がつぶれるというハードスケジュールとなった.
 全員遅刻することなく,大会が始まった.筆者のでた有段の部には,我らが蟻しゃんを含む5人の参加者がいた.

第1試合

 相手の段位は筆者より一つ上であったため,筆者の黒先で対局がスタートした.中盤あたりからも大きなコウが起き,激しい碁(苦しい碁)となった.そのため,両者とも時間が無くなり,冷静さを失った筆者は大石をとられ投了.もし両者に時間があっても,形勢は悪かっただろう.

第2試合

 この対局の相手はなんと“ヨシダ”君なのである.すると,近くにいた老害者らが「この対局は真の“ヨシダ”,つまり“ヨシダ”の本垢とサブ垢を決める対局だじょ!」みたいな訳のわからないことを言い出した.そんな煽りを受けながらこの対局が始まった.この対局は相手の黒先.序盤からよく知らない布石のため,知らない碁になった.相手にできた厚みをうまく打ち消せるように打つことができ,勝てるかなーと思ったのだが,右上隅でグジャった所を読み間違え,見事に頓死.形勢がひっくり返り,敗戦となった.そして,筆者は栄えあるサブ垢に選ばれてしまった.と思いきや,相手の“ヨシダ”君は“𠮷田”君だったのである.なんとかサブ垢を回避できたのだが,結局「下の短いヨシダは弱く,下の長いヨシダが強い」という結論に至った.全国の吉田に申し訳なく思う.

第3試合

 昼ごはんにKFCを食べたあと,第3試合を行った.人数の関係上不戦勝となった筆者は,暇な時間を過ごして大会を終えた.その後みんなで天神へ歩いていったのだが,筆者は何もすることがなく帰るのであった.

 大会の結果として,九大からは無差別部門で出場した寺下君と有段の部で出場した蟻しゃんが代表に選ばれた.本戦は蟻しゃんが出られないらしいのだが,寺下君の活躍を期待したい.

まとめ

 初めてのKFCはまあまあおいしかった.
 大橋には膳がない.

 吉田はマイノリティー.𠮷田がマジョリティー.

Written by マイノリティの方の“ヨシダ”

学生本因坊・女子学生本因坊レポート

 阿部,上村,近藤,寺下,岡,田中,中島(幹事)

 学本,女学九州予選レポである.

 筆者の話をすると,無事0回戦(起床)を突破し,トーナメントの組み合わせを決めるくじ引きにも間に合ったのだが……なんと一回戦の相手が姿を現さず拍子抜けであった.
 筆者は代表になれず,かつてラストイヤーの大会で代表からこぼれ,椅子から空を眺め固まっていたレン=メイショウ氏を「滑稽滑稽」と写真に収めたのをちょっと反省した.

 寺下は二回戦で筆者を狩り,早々に代表を決めて帰ってしまった.流石の強さであったが,帰ってしまったのはプレミである.残っていれば面白いものが見られたというのに——

 面白かったのは近藤氏である.
 さすがにもうニギリのやり方は覚えたらしく,たくさんの黒石を握り出して相手を露骨に困惑させてしまうことは無かったが,やはり盤上でAI流珍法を試すなどして相手を困惑させていた.
 また終盤では尽くヨセをミスしてギャラリーを困惑させ,きっちり半目負けに調整した上で頭を抱えて困惑した姿を披露.
 私もつられて困惑してしまった.(?)

 寺下以外の九大メンバーは敗者戦にまわり,残りの一枠を争う展開になった.
多少盤外で珍事が起こるなどあったが,最終的に九大期待の新エースである岡が代表枠を掴んだ.
 毎回くじ運が悪い印象がある上村氏は今回有力候補だったが惜しかった.

 一方,女学である.
 これまた九大新一年の田中氏が実力を発揮し,全勝で代表を勝ち取った.
 全国でも期待できそうである.
 財布を忘れてお昼ご飯に困るあたりも囲碁部の伝統を継いでおりとても良い.

 今回九大からの代表者は1年生,1年生,2年生である.

 老害諸君,十傑で老害の意地を見せねばなるまいな?

Written by 阿部

2018年度大会結果

大会名称クラス結果メンバー
第62回全日本大学囲碁選手権4位(4勝3敗)中島維,阿部,坂井,上村,高橋,寺下,友田
第5回日中韓神前囲碁対抗戦(対 中国人民大学)4-1清水,上村,齋木,劉,Jonathan
九州地区秋季団体戦優勝近藤,上村,寺下,坂井,阿部
第17回全日本学生囲碁王座戦予選枠抜け寺下龍太郎
秋季囲碁愛好者グループ対抗囲碁大会A優勝上村,石塚,吉田
B優勝齋木,赤山,伊東
第55回全日本学生十傑戦九州予選枠抜け寺下龍太郎

枠抜け阿部健太郎
第1回西日本対抗戦優勝九州A(寺下,齋木,上野(福岡大))
全勝賞齋木雅大
長崎県大体囲碁大会A13位寺下,近藤,上村,石塚,的場
第13回朝日アマ名人戦全国ベスト16寺下龍太郎
西日本対抗戦九州地区予選無差別優勝寺下龍太郎

準優勝中島維吹
有段優勝齋木雅大
準優勝赤山直哉
級位優勝森田真啓
第62回全日本学生本因坊決定戦予選枠抜け寺下龍太郎
枠抜け阿部健太郎
枠抜け近藤弘基
九州地区春季団体戦
優勝寺下,坂井,友田,阿部,上村,麻尾,森田